February 23, 2009

柔らかい刺激

1年ぶりに日本に帰っている。昨年も一度帰国しているのだが、今回は以前の滞在よりも日本とインドのカルチャーショックを感じていない。ひとつあるとすれば、日本はとにかくいろいろなことに、あたりが柔らかい、というか丸い。角が無いといったらいいのだろうか。

成田に着いたとき、空港から新宿まで出るバスを待っていたら、係員が私に向かって何か言った。しかし何を言っているのか聞き取れなかったので、「は?」と聞き返すと、もう一度「…ス」と今度は最後のスだけが聞こえた。「え?な
んですか?」と再度聞き返すと、「もう少しうしろにお下がりくださいますようお願いします」のスだということがわかった。

その後もふいに知らない人に話しかけられて、一瞬相手が何を喋っているのかわからないことがたびたびあった。これは何だろう?と考えていたのだが、どうやら日本人が話すときの音量の平均がかなり小さいようなのである。柔らかい声で抑揚なく話すので、しっかり聞いていないと聞き取れないのだ。

それから、日本でもう1つ気になるのは、いたるところでふにゃふにゃした音楽がかかっていることである。オルゴールの音に編曲したゆるいビートルズのメロディーとか、そういうムードミュージック的なものがかなりの頻度でショップやレストランや病院なんかで流れている。これがすごく眠くなる。あんまりしょっちゅう流れていると、自分が実はもう死んでいてここは天国なんじゃないだろうか、みたいな雰囲気になってきて生きた心地がしない。

そんなふうに、日本は人のあたりは柔らかくて優しいし、いろいろな場所に癒しがちりばめられている。きっとその分だけ現実は厳しく人が疲れきっているということなんだろう。しかし実のところ、こういう作りこまれた柔らかさが逆に無用な刺激になって人を疲れさせることもある。「ね、癒されるでしょう?この音楽」とか「ほら、やさしいでしょう、私たち」というその態度につい欺瞞やプレッシャーを感じてしまい、いまいち気分が乗らない。いいからもっとテキトーにやってよ、そのほうがこっちも気楽だからさ、と言いたくなってくる。日本人はもっと余計な力を抜いたらいいのにと思う。

8 comments:

  1. あいちゃん。おかえりなさいまし。
    これ、よくぞ書いて下さったわ。
    かゆいところをかいていただいた感マックスだわよ。

    > 「ほら、やさしいでしょう、私たち」というその態度につい欺瞞やプレッシャーを感じてしまい、いまいち気分が乗らない。

    いまいち気分がのらない、って言い得て妙だわ。
    嫌っていうのにはキツいのよね。
    気分がまったく乗せられないの。
    日本でエステなんかに行ってごらんなさいよ。そのサービスの有様に、しら〜としちゃうから。「やわらかい地獄」よ、エステは。

    やわらかい音楽で思い出したけど、日本に帰って来てからやたら
    「避暑地の出来事」って曲があちらこちらでかかってるんだけど。
    スーパーでもカフェでも。
    http://www.youtube.com/watch?v=vhfaupMj4Go
    この不景気とあいまって、不気味な雰囲気すら醸し出すのよ。
    日本楽しんでね。

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  2. ただいまー。でも今日からまたムンバイです。

    ね、そうでしょう?あ、共感してくれる人がいてよかった。そうそう、イヤって程ではないんだけど、なんか疲れるんだよね。日本のエステ・・・いったことないけどスゴそう。

    日本はなんだか滞在していて頭がぼんやりしました。でもご飯はおいしかったなー。ふぐちり食べたの、ふぐちり。

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  3. ごめんなさい、まぁちゃんさんの「エステ=やわらかい地獄」に思いっきり吹いてしまいました笑。そのとおりだわ!

    私も日本のサービス業のあの感じはあまり好かない。時々ウソ臭いんだよね~。型になってるのがイヤなのかな。とはいえ、たまに自然に感じ良い人もいるけどね。

    ここ数年同年代の友人たちが結婚ラッシュで、家庭に入るからなのか「私いますごく優しい気持ちなの」的な態度の子が多く、たまに癇に障る私。昔はブラックトークで爆笑しあってたじゃないか~、と。
    でもこれハナシ違うよね…。

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  4. うん、多分、型は型でもやさしい型だから、乗らなきゃしょうがないみたいな、自分が流されている感じが釈然としないんじゃないかね。

    結婚前の女子の「私いますごく優しい気持ちなの」的な態度、笑える。「最近結婚した人の妙な落ち着き様」と似たようなやつかな?

    結婚で柔らかくなった人を見ると、結婚の話がまとまるまでのしっちゃかめっちゃかや苦労を通り抜けた末に、人は仏さんのような気持ちになってしまっているんじゃないかと想像してるんだけど。ああ、大変そうだなーと逆に思ってしまったり。

    ところで、この間日本滞在中に聞いたんだけれど、結婚に向けて活動することを「婚活」っていうらしいね。

    あと、30前後の女性のことを「アラサー(around thirty)っていうらしいね。

    どうでもいいけど、ださいね。この手の流行語って。

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  5. 横槍、ごめんあそーせ。

    文さん、

    『家庭に入るからなのか「私いますごく優しい気持ちなの」的な態度の子が多く、たまに癇に障る私。』

    あたしゃそういう奴らとは10年ほど前にたくさん遭遇してたから書くけど、「優しい気持ち」を持って結婚したはずなのにその2年後には「子供が言うこと聞かずムカつく」に変わりぃの、さらにその後「旦那がうざい」に変わりぃの、ついには「鬼のような気持ち」で離婚した奴ら数組知ってるわよ。
    っていうか、所詮はプチ鬼だったのに、人様に幸せをアピールするために「優しい気持ち」になってるつもりの自分を見て欲しかったのかも。
    あぁ、ややこしい、ごめ。
    その人達のその後はしっちゃかめっちゃかよ。
    あら、あたしったら人の不幸をまるで楽しんでいるような書き方。そんなことずぇんずぇんございませんことよ。

    Annie LeibovitzのA Photographer's Lifeを見て(読んで)号泣のまぁちゃん。Susan Sontagって死ぬべきじゃなかったよね・・・。
    美しい人達。本物の人達。

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  7. A Photographer's Lifeって何?本?見てみたいなあ。

    うーむ、幸せ結婚ほやほや感てそんなに続かないもんなのか。最初に甘い夢を持ってて期待値が高いと、ギャップがでかくて後が大変になるんじゃないかね。

    私は2、3年後に、かわいかったお嫁さんが自分の子どもをギャーンと叱り飛ばしていたりするのを見ると、なんかほっとするというか、あ、よかったなー、こっちにいって、と思う。

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  8. まぁちゃん、あいちゃん

    そだね~。私だって良い時はここぞとシアワセ振りまいちゃうし、そういうもんかも?甘い夢に浸りたいってのは解るしね。

    でも理想と現実のギャップって絶対あるからなぁ。今後自分がその立場になったときは、ちゃんとそれ認めて前に進めるようにしたい!自分がしっかり確立してて、いつも自分に正直でいられたら、バランスよく生きられるかなぁ。

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