July 8, 2008

泣け、シャー・ルク・カーンとともに

シャー・ルク・カーン(Shah Lukh Khan)がわりと好きである。シャー・ルクといわれてもわからない人に説明すると、彼はインドで超有名なボリウッド俳優です。

顔は香港俳優ジャッキー・チェンにやや似ていて、てかてかむきむきボディ、織田裕二を舞台俳優にしたような演技が彼の特長である。貧乏だけど心根が優しくピュア、家族や恋人の危機にはぶるぶる震えながら涙し、それとはいたって無関係に半裸セクシーシーンを繰り広げる、というのが私が見たいくつかの映画において大体共通する彼の役どころであった。実際、シャー・ルクは他の俳優に比べてさほどハンサムではない。しかし、いってみればチャーミングで、見ているとだんだんその愛嬌が心に染み入ってきて、「ああ、シャー・ルク・カーン、結構かわいいかもな」という感じになってくる。

最近見たシャー・ルクのよかった映画は「Devdas」という悲恋物語で、私はボリウッド映画で初めて泣いてしまった。やや、くやしいような、そんな気分。どんな映画でもよく泣くほうだけれど、ボリウッド映画はダンスシーン満載のせいか、あるいはあまりにもコンテクストと無関係なシーンに気を取られるためか、あんまり情緒的になる瞬間がない。でもこれはよかったです。ストーリーも音楽も美術もよくて、懐古的な気分になる映画でした。


ヒロインはこれもまたボリウッド一の(?)人気美人女優、アイシュワイヤ・ライ。初恋の女性パロとの恋に破れたデヴ(シャー・ルク)が、酒で身を持ち崩し、死にかけていく様は見るに耐えないほどかわいそう。シャー・ルクに片思いし、必死に救おうとするが、愛情を拒み続けられる踊り子のチャンドラムキもすごくかわいそう。よよよよよよ。ラストシーンははらはらどきどき、かつ、「そこで終わりますか!」と叫びたくなる素晴らしいラストショット。ちなみに、このチャンドラムキ役の女優は妖艶だけどピュアというかんじの演技がうまくて、この人もまたすごくよかったです。

いつもはシャー・ルクが泣くと、「あ、また泣いちゃったよこの人」という感じで、横目で眺めていたけれど、この映画に関しては、「わかったよ、シャー・ルク。今回は私も泣くわ」とパソコン画面につぶやきながら観た私。最初は異文化的に面白がっていたボリウッド映画が、だんだん自分のスタンダードになっていく。いいんだか、わるいんだか、しらないけど。

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