January 7, 2009

サンダル一足

世の女性の中には、何百足も靴を持っている人がいる。その日の服の色や気分に合わせて履く靴を選ぶのである。玄関でも靴箱でもなく、クローゼットに靴の箱があふれている。その日に履いた靴を拭いて、また次の機会がくるまで大事にしまっておく。ちょっとでいいから、そういう種類の人生を歩んでみたいな、とごくまれに思う。

私には3足しか靴がない。毎日履くサンダルと、スポーツ用の運動靴と、いざと言うときのためのビーチぞうりである。サンダルは毎日のムンバイのぼこぼこの道の出勤と、休日の散歩と、旅行とあらゆる活動に乱暴に使うために、3ヶ月もすればぼろぼろになってしまう。ある日ついにストラップが切れて、駅前の靴修理屋にもっていって直してもらう。直してもらってから1ヶ月ぐらいすると、今度は修復不可能な状態で壊れる。壊れると、オフィスにおいてある緊急用のビーチぞうりを履いて靴屋に行き、新しいサンダルを買う。この繰り返しで今までに4足ほどサンダルをつぶした。

靴屋に行くと、何とあわせてもそれほどおかしくなさそうなデザインで、丈夫で、痛いところのないサンダルを選ぶ。この3条件が揃うサンダルが見つかるまで靴屋をいろいろ回る。だからいつも似たようなサンダルを買いなおしてしまう。このようなこころざしなので、今までに一度も「おしゃれですね」と言われたことがない。サンダルを買うたびに、大学時代に友達が言った、「なんで一張羅のスーツにその汚いスニーカーを履いてくるの?」という言葉がいつも頭に思い起こされる。

一度でいいから、あの人はおしゃれだ、と人に見られてみたいのだが、結構これが難しい。靴屋に行って800ルピーするサンダルを手に取ったら、「これで13個はツナ缶が買える。すなわちそのうち6回は炊き込みご飯にして、4回はツナおろしスパゲティーにして、のこり3回は日本米を炊いて手巻き寿司にできるなあ」と思わず計算してしまう。サンドイッチなら80回は食べられる。私は買い物が大好きなので、よく服や靴やアクセサリーを見に行くんだけれど、そんなふうで、いつも自分が気に入った品物より一ランク低い似た品物を探して買ってしまう。

いちおうまともなオトナとしてというか社会人として、アクティヴな靴をせめて3足ぐらい持っていたいような気がする。しかし、その中で一番履きやすい靴をどうせ毎日履くんだろうと考えると、あんまりそこにお金を使うことに意味はなさそうである。

4 comments:

  1. 自分の体は自分が食べたものでできているのだから、食べ物に気を使うのはお洒落な靴に気を使うことより素敵なことだと思います :)

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  2. manaさん、ありがとう。そうかもしれない。ぴかぴかの靴履いてても肌ががさがさだったらいやですね。うむ。そう行ってもらえると、あんまりぶつぶつ言ってないで、自分に快適な道を突き進めばいいかという気がしてきました。

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  3. 毎日履けるものを5ランクくらいあげればきっと価値わかると思います~。上げるなら一気にあげるのよ!

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  4. えー、5ランクってどれぐらい上げるの?
    1000円を5000円ぐらいとかそういう意味?

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