デスクは、頭の中身の比喩だ。私の会社のデスクの上はいまめちゃくちゃである。
3週間分ぐらいたまったタスクリストの紙、読まなければと思って積み上げてある本や雑誌、壁一面に張り付けたアイディアメモや忘れないことメモ(すでに多すぎでどれが大事なのかさっぱりわからなくなっている)、書きかけの原稿やマインドマップと、もってきては片付け忘れるおやつのお皿。
パソコンのデスクトップもこれにそっくりである。書きかけの企画書やメール、作りかけのファイル、すぐ使おうと思ってショートカットを作っておいた画像やサウンドファイル。やらなければならない仕事に時間と体が追いつかず、整理する暇もないままにエントロピーがどんどん増大していく。
私は自分が企画した仕事と人から回ってくる仕事に精神的な区別をしていない。人からもらった企画でも、好きに料理してくれと言われたらけっこう燃えちゃうタイプである。仕事を断るのが惜しい。それでハイハイ言っているうちに、気づくと明らかに不可能な量の仕事が目の前に積まれている。
1月に、仕事で親しくしている人たちが何人か会社を離れることになった。契約が切れて次の場所に向かう人、結婚して引っ越す人、いろいろである。周りの人が、身内の不幸や病気などといったさまざまな問題に直面している話を聞く。自分もまた、いろいろな種類の決断を日々迫られている。この激しい空気の動きの中にいるだけでけっこう消耗してくる。そんなかんじで、やることは多いし変化は激しいしでかなり忙しい。
そういう時は、周りの人をただ見ている。
オフィスは不思議な空間である。一人ひとりの人がなにがしかの問題を抱えていて、何かに迷っていたり、悲しかったり、逆に笑い出しそうなぐらい幸せだったり、それでも朝ちゃんとした顔をしてやってくる。パントリーで友達と冗談を言い合い、ミーティングでまともな意見を言い、働いているとおなかがすくからランチを食べて、きちんとした顔をしたままうちに帰っていく。暗く沈んで泣いている人も、腹を立てて愚痴を言い散らかしている人も、幸せすぎてはしゃぎまわっている人もいない。
そんなふうに想像していると、頭の中がどんなにはちゃめちゃでも、自分も一応しゃんとしていようという気持ちになってくる。みんな、しっかりしている。
January 21, 2009
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