March 6, 2009

インドのビッグ・ウエディング(3) 親戚いっぱい

友人には、おじさんとおばさんとおじいさんとおばあさんがいっぱいいる。おばあちゃんを数えていたら6人いた。6人おばあちゃんがいるのは絶対おかしい、と思って聞いてみると、3人は実のおばあちゃんの姉とか妹だった。アンティ(おばさん)もいっぱいいる。とにかくいっぱいいる。家の中はサリーを着て忙しく動き回る女であふれている。家のあっちとこっちでおばあちゃんたちが2グループに分かれてだれかの悪口を言ったり、悪い噂話をしている(ように見える)。

私は家族に典型的な「インドの文化にすごく興味がある外人」として受け入れられ、アンティたちにずいぶんかわいがってもらった。花嫁が支度をしている間に、アンティたちに連れられて街に買い物に行き、親戚の家を一軒一軒回って家族の一人ひとりに挨拶する。なかなかの人数であった。英語ができる友人や同僚たちから離れてアンティと子どもたちだけになると、マラティ語がわからないので、片言の英語と手まねと顔の表情だけでなんとか会話する。どうせ難しい話をすることもないのだから、それでけっこう何とかなるものである。ひさしぶりに外人としてちやほやされた。道端で一人のアンティがジャスミンとバラの花を買って、髪につけてくれた。

おどろくべきことに、3軒の親戚が並んで隣同士に家を建てて住んでいる。一軒目でお茶を飲んだあとで、おばさんが「じゃあ次の家に行こうか」というので、「は?」と思いながらついていくと、隣の家がまた別のおばさんの家なのである。そこで2階のトイレからベランダまで隅々を案内されておやつを食べた後、「じゃあ、今度は隣の家に行くわよ」といって外へ出ると、またその隣がもう一人のおばさんの家である。3軒目のおばさんの家を出た後で、庭先から「ちょっとちょっと、もう一回おいでよ」と前のおばさんに呼ばれて、さっきはいなかった娘やらいとこやらを紹介される。しばらくボーっとしていると、向こうの家から子どもがやってきて「あっちのアンティが来いって言ってるよ」と呼びに来る。
お茶やらお菓子やらバナナやらを立て続けに食べてお腹いっぱいになってしまった。

親戚の子どもたちもいっぱいいる。小さい子どもたちは、親世代とちがって英語が話せる。聞いてみると、学校で習っているのではなく独学しているのだという。こっちの英語はかなりヤクザなのに、彼らは「今、おれ英会話の勉強してんの」という感じで英語で話してくるのでばつが悪い。くだらない宴会芸の手品を教えたり、日本語を教えたり、折り紙を一緒に折ったりして遊んだ。

とにかくうじゃうじゃいる。私は平素よりさほど社交的なことを好むほうではないが、2件目のおばさんの家でお茶を飲んでいるあたりで、「ここは完全に頭を空っぽにして、この流れに完全に飲み込まれて進もう」と決心して、人数をカウントするのも名前を覚えるのもあきらめて、手を引かれるままにぐるぐると回っていたら、ちょっと楽になった。流れ流れて、ちゃんと最後には友人の家までたどり着き、髪につけた花をみんなにほめてもらった。

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