March 5, 2009

インドのビッグ・ウエディング(1) Virar の黄色い家

先週の土日、2日がかりで同僚の結婚式に行ってきた。式はきっかり3月1日。彼女は去年の7月に婚約して今年の1月に結婚のために退社し、今月末には夫の仕事についてノルウェーに引っ越すことになっている。

ムンバイの北、Virarという村が彼女の出身地。そこからムンバイのビジネスの中心的都市であるAndheriのオフィスまで急行で40分かけて毎日通っていたのだ。実際行ってみると、相当な田舎である。よくも2年もこの長距離をコミュートしていたなあ、とひたすら感心してしまう。

Virar駅を出て彼女の家まで歩いて向かう。舗装されていない土の道である。道の脇に牛やヤギがいる。学校帰りの制服を着た小学生たちがアイスクリーム屋の屋台を囲んで5センチぐらいのちっちゃな赤い棒アイスをみんなで食べている。村の人たちはほとんどマラティ語をしゃべっているのでい、何を言っているのか一言も聞き取れない。そんな村だ。

ムンバイとの大きな差として、庭付き一戸建ての家が中流家庭の主流である。友人の家は黄色とクリーム色でかわいく塗られた2階建ての大きな家で、庭が2つと花と野菜のガーデンがあった。パパイヤ、マンゴー、チクー、バナナ、イチジク、ココナッツ、ナス、オレンジ、ねぎなどを庭で栽培している。玄関には天井からつった木のブランコがある。ムンバイではよっぽどの金持ちでもこんな家には住めない。聞くと、もともと土地持ちの大きなご家族らしい。

庭には結婚式前夜のパーティーのために赤い大きなテントが張られていて、中では料理人たちががご馳走の支度をしている。入り口にはどういうわけかすでにドラムやキーボードをたずさえたバンドが控えている。友人やその家族が玄関で出迎えてくれて家に入ってみると、とにかくおじさんやらおばさんやらいとこやらすでにいろんな人が集まっていてすでにてんやわんやの雰囲気である。前日からすでにいくつか結婚前の伝統行事をこなしてきているらしい。

ひろい螺旋階段をあがって2階の彼女の部屋から外を眺めると、新しくできた高校の建物と、木と山と森と、広い空き地で遊んでいる中学生から高校生ぐらいの少年たちの集団が見える。物売りみたいな人が風呂敷包みを抱えて歌うような宣伝文句を繰り返しながら家の前の道を通り過ぎていく。静かで平和な田舎町だ。

友人の親戚のおじさんやおばさんたちに会うと、「Viraruはどう?」とみんなが聞いてくる。「うん、平和でいいところだね」と言うと、年配の人は「そうでしょう、そうでしょう」とにんまりするけれど、若い人たちは「ね!平和すぎるでしょ!もー、通勤が大変なんだから。退屈だし!」みたいなことを言う。なんか典型的だ。じっさいここから市街地まで通勤するのはたいそうである。私だったら街に部屋を借りて一人で住んだほうがずっと楽だと思うけれど、村の若い人たちはそんなことしない。お母さんが作るお弁当をもって2時間のコミュートに耐え、夜帰ってきてうちのご飯を食べる。なんだかこういうのを見ていると、自分がずいぶんやくざな暮らしをしているみたいに思えてならない。

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