August 25, 2008

夕暮れの電車で

混雑した夕方の電車に乗っていた。横の座席に座っていた女の子が降りたのでひとつ席が空くと、その隣に座っていた小さいくちゃくちゃのおばあちゃんが私の服のすそを引っ張って席に座らせてくれた。となりに座っているおばあちゃんの頭は私の肩ぐらいである。とても小さかった。よく見ると、その隣にも同じ顔のおばあちゃんが座っていて、二人はほとんど同じいろの、赤と緑のサリーを着ている。どうやら姉妹のようだった。

眠かったので目を閉じたりあけたりしていたら、電車が駅で止まって若い母親と小学1年生と保育園ぐらいの子供が二人、制服を着て、電車に乗ってきた。大きいほうの子は私の隣に座り、小さいほうの子供は人のひざを潜り抜けて電車の窓のところまで行こうとしていた。すると、さっきのおばあちゃんが子供の背中をつかんで、窓までぎゅっと押し出して外を見せてやった。子供はおばあちゃんを見るわけでもなく、当たり前のように窓枠をつかんで外を眺め始めた。

しばらくすると、子供が風景に飽きて頭をふらふらし始めた。またさっきのおばあちゃんが子供をつかんで、自分ともうひとりのおばあちゃんの片膝の間に子供を持ち上げて座らせた。もうひとりのおばあちゃんも子供の座る位置をちょっと変えて、手で子供が落ちないように支えた。子供は今度もそうされるのが当たり前のように黙って座っておちついてしまった。子供の母親をチラッと見てみたけれど、彼女は大きいほうの子が椅子から落ちないように支えていて、別にもう一人の子供がよそのおばあちゃん二人の膝にすわっているのなんか当たり前だという顔をしていた。

なんだかうらやましかった。彼らに比べて、私が他者との間に常に取ろうとする距離と無関心はなんなのか。なぜ知らない子供をひざに抱き上げることを、自分は思いつきもしないのだろうか?

ああやって、自然なしぐさでこともなく子供をだっこできる大人に自分もなれるだろうか。無理かな?そうなれたらいい。

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