朝、Sanpada駅周辺を走る。Sanpada駅といきなり言われても困る人が多いと思いますが、うちから歩いて10分の距離にあるローカル線の駅です。日本ではまともに続いたことのない早朝ジョギングが続いているのは、まあ暇であることが一番の理由かもしれないけれど、朝の6時から7時の時間帯のジョギングとちゅうの風景がなんとなく面白いからついつい見に行ってしまう、というのも理由のひとつだと思う。
アパートの入り口には宅配の牛乳屋とかパン屋が集まり始めている。ある日ジョギングの帰りにおじさんをつかまえて「うちにも牛乳配達してくれ」と頼んだら、「俺いそがしいんだ、とりあえず今日の分ね」といって牛乳を1パック私の手のひらにべちゃっと置いて小走りに去っていった。インドの牛乳は詰め替え用の洗剤みたいなかんじでビニール袋に詰めてあるからすごく持ちにくい。袋が破れても困るし、仕方なくクラゲを持つような感じで両手の平に乗せて部屋まで持って帰った。
6時半に隣のビルの横を通ると、チャイ屋が店を開けていて、通勤や散歩の途中の人が腰掛けてお茶を飲んだり朝食を取っているすがたが見える。散歩の人がわりとたくさんいて、一様に「悠然」という感じで歩いている。エクササイズというより精神統一のためというような雰囲気だけど、本人たちはエクササイズのつもりなのかもしれない。あるいはゆっくりあるき健康法みたいなのがシニアの間で流行っているのかもしれない。
駅を抜けるときには新聞屋が地面に布を広げてその日の朝刊を並べ始めている。6時台だとまだ届いてない新聞のためのスペースが空けられている。それから靴修理・磨き屋も営業を始めている。この人たちのターゲットは早朝出勤のサラリーマンである。このあたりは夕方を過ぎると帰宅途中のサラリーマンを狙った果物・野菜市場と化していて、時間帯によってうまく住み分けているんだなぁ、と感心しながら通り過ぎる。
マーケットは夜の活気が完全に抜けていて、人はほとんどいない。八百屋のおじさんが荷車の上で寝ている。そんなところで寝て蚊に刺されないのかな、と思っていると、一人のおじさんが体を蚊帳でぐるぐる巻きにして寝ているのが見受けられた。やっぱりね。でも蚊の問題を抜きにしたら、室内よりも外で寝るほうが涼しくて気持ちいいだろうことは共感する。そういえば、トラック運転手は道の脇にトラックを止めて、トラックの屋根に布団をしいて寝ていた。これはさすがにあの高さから寝返りを打って落ちたら間違いなく死ぬと思う。
歩道を走っているとところどころに中学生ぐらいの子供が制服を着て立っている。たぶん通学バスを待ってるんだと思う。近所にはちいさな女子高があって、制服を着た女の子たちの集合写真が門にかけられているけど、この時間帯にはまだ誰も人がいない。
駅から5分ぐらい走ったところに小さな野球場ぐらいの運動公園があり、早朝でもかなりの人数の人が集まってさまざまなエクササイズが繰り広げられている。ひとつは青空ヨガ教室で、講師が前に座って、30人ぐらいの中年の人々が座って呼吸法の練習をしたり、足を上げたり下げたりしている。もうひとつは男性シニアばかりを集めた掛け声教室ともいうべきもので、おじさんたちが腕を振り回しながら声を合わせて何かを叫んでいる。あとは普通の体操教室で、これは近所に住む主婦が集まって始めたような感じ。そのほか、ウォーキング夫婦、母親を支えて歩く息子、公園のベンチでブリッジの練習をしている青年、胡坐をかいて精神統一をしている人々。けんかをしている子犬たち。
犬は問題で、この時間帯は犬の食事の時間と重なっているのでやたらといらだった犬が多い。昼間はほとんど魂が抜けたように寝ているのだが、朝は犬どうしがよくけんかしているし、うっかりそばを走ると怒って追いかけてくることがある。そういうときは「すいません、ごめんなさん」と日本語で謝りながら小走りに逃げたりしてあとで情けない気分になる。その辺のおじさんが犬を棒でぶったたいてしかってくれることもある。
というように、ナビムンバイにおける早朝マラソンはわりとおもしろいです。
June 9, 2007
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ブログ開設、おめでとうございます!
ReplyDeleteまるで、飛び出す絵本みたい。なんて生き生きとした描写なの、Ai!(沙衣風に)
ほんと、楽しみにしているので、たくさん書いてね。