最近、自分のために陶器のお皿のセットを買った。インドの建物の床には硬い石のタイルが敷かれている。床に食器を落としてよく割るので、1年ほどずっとプラスティックのお皿を使ってご飯を食べていた。しかし、プラスティックがやや痛んできて使うのにうんざりしてきたのである。
会社のパントリーで雑談をしていたら、社員の一人が「プラスティックのお皿を電子レンジにかけて調理したものを食べてばっかりいると、発がん性物質が体にたまってくるよ」と教えてくれた。私はこういう食品系科学は安易に信じないようにしている。しかし、一度聞いてしまったからには気にしないわけにいかない。うちは癌家系なのである。
というわけで、2、3週間ほどかけて、暇があれば食器屋をのぞいて安い陶器の食器を探して回った。陶器は高いので、失敗するわけにいかない。店を回って食器を持ち上げては、「この食器に何を盛るのか」とひたすらシュミレーションした。
1.パスタなどの麺用食器
(スープパスタ、そうめんなどが盛られる、やや深めの大皿)
2.どんぶりもの用食器
(フライドライス、親子丼、ラーメンなどが盛られる、片手に乗せて重くないサイズの中深皿)
3.デザート、スープ用食器
(ヨーグルト、スープに兼用で使えるお茶碗)
私は趣味の生活者としては最低レベルの人間である。機能以外にこだわりがないのだが、実際に購入しようとすると、
「黄色は人間の食べ物を盛る色として本当に適切なのだろうか」
「この熊のイラストは、今はかわいくても、しばらくしたら私の食欲を殺がないだろうか」
などといちいち細かいことが気になって、なかなかレジまで持っていく勇気が出ない。
そんな風にうじうじしていたのだが、あんまりこのようなことに人生の重要な時間を費やし続けるのも無駄ではないかと考えるようになり、先週ようやく心を決めて、シンプルな白い皿の3点セットを買った。人に見せたら、それだけ悩んで結局これかい、と言われそうなものであるが、ほんのちょっと生活の質が向上したみたいでうれしい。
このお皿セットですでに、親子丼と、2色どんぶりと、にんじんのペペロンチーノと、そうめんチャンプルーを食べた。ふっふっふ。
December 20, 2008
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