August 16, 2008

失敗したことは忘れて、成功したときにこそ考えよ

今働いている会社には、「成功から学べ」という社風がある。ビジネスが落ち込んでいるときにその問題の原因を探るのと同じように、うまくいっているときの成功要因を洗い出して、同じ要素を先のプランにも適用してみよう、という考え方がわりと浸透しているのである。例えば、お客さんがたくさん来た週明けに上司から「なんで週末にそんなに調子がよかったのか調査してみなさい」と指令が来たりする。

以前に会社の元先輩が「日本人は失敗から学び、インド人は成功から学ぶ」という格言を持っていた、という話をブログで書いた。私はこの気風がインドの他の企業にも共通するものなのかどうかは知らない。ただ、私自身は「なんで成功したのか理由を言ってみなさい」といわれると、いつもちょっと新鮮な気持ちがする。多分、うまくいったときこそ反省してみるなんてマインドセットが私の中になかったからだと思う。皆さんはいかがですか?

ふつう、何かアクションを起こすときには、動因なり誘引なりといった何らかのストレスが必要である。「なんとかしなきゃ」と思うときはたいてい何か悪いことが起こった後なのだ。物事がうまくいってないときには、何でなんだろう、どうしたらいいんだろう、と頭が自動的に解決を求めて思考しはじめる。ところがハッピーなときには、傾向として「なんでこんなにハッピーなんだろう」とぐるぐる反省したりしない。うまくいったなぁ、じゃあ次なにやろうか?と自然と思考が未来に向かいがちになる。

だから私の場合は、うまくいっている状態から何かを学ぼうとするのにはわりと努力が必要である。これまでに学んだ本当に役立っている能力は、ほとんどがかなり痛い思いをして得たものばかりである。つまりはかかるストレスの分だけ少しずつ賢くなるということだが、そういう人生はできればもう勘弁してほしいと思わないでもない。「失敗したことはどんどん忘れてトライし、とりあえずうまくいったときに考えよう」というやり方にシフトできるとしたら、どんなに人生楽しいだろうと思う。試してみよう。

2 comments:

  1. アメリカの音大時代。先生に「どうして今回の試験で上手く弾けたのかアナライズしなさい」って言われたことを思い出しました。どうして上手に弾けたのか分析するのってマジ難しいかった。
    Luckと奇跡が重なったとしか言えないものを分析するのは訓練なくしては無理ですよね。
    それが出来ないから一流の音楽家じゃないのかぁ・・って思っちゃったりして。

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  2. 音大生だったんですねぇ。しかし、「ピアノがどうしてうまく弾けたか」なんていったいどうやって分析するのかまったく想像が付きません。
    よしもとばななの「キッチン」の続編で、「きれいな月を見た、とかって料理に影響があるんでしょう?」という素敵なセリフがあるけど、そんな感じでしょうか。

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