November 15, 2008

すべてはゴルマールになる

先週の日曜日、以前によく通っていた近所の小劇場に映画を観にいった。このごろ家の近くの新しいシネコンにばかり行くようになってしまったことにちょっと心が痛んでいたので、久しぶりに地元の商店街の売り上げに貢献しようと思ったのだ。

この劇場の問題点は、チケット売り場が決まった時間しか空いていないことである。チケット売り場の横のタバコ屋のお兄さんいわく、大体午前10時ごろと午後2時ごろに売り場が開くが、それ以外は閉まっているらしい。だから、通りかかったついでにチケットを買って置こうと思ってもできない。久しぶりに行ったのでその事をすっかり忘れていて、仕方なくチケット売り場の横のチャイ屋で1時間ほど本を読んで待った。

ムンバイの映画館では上映前に必ずインド国歌が流れて、観客はみんな起立してスクリーンの国旗に掲揚しなければならない。このルールは2003年に始まった比較的新しいものだという。ムンバイのタウン誌Time Outの「ムンバイから無くしたい100のことリスト」という特集の中では、「あれ、うざいからもうやめて欲しいよね」と批判的に取り上げていたけれど、そうはいっても曲が流れればちゃんとみんな起立する。

この日は、国歌の最後に2人ぐらいの観客がスクリーンに向かって「バラー、マッタッキ!」とヒンディ語で叫んだ。その発言をメモしておいて後日知人に確認してみたところ、正確には、

Bharat Mata Ki Jai (バラート・マッタ・キ・ジャイ)

( Bharat = India / Mata = mother / Ki = that / Jai = win )

だそうである。日本語にするなら、「母なるインドに栄光あれ」といったところだろうか。久しぶりにローカル劇場に入るとこういうことがある。ファンシーなシネコンの中で、人はあまり叫んだりしない。途中で画面がパタッと暗転してしばらく会話だけが続くというハプニングが起こって観客が一斉に「見えない!見えない!」と叫ぶという一幕もあり、なかなか面白かった。

最新のシネマコンプレックスのチケット代はRs. 150からRs.200前後であるのに対し、ローカル劇場ではRs.50からRs.100と安い。この値段の違いが客層の違いなのだ。しかし、映画への反応はどこに行っても同じみたいだ。

ちなみにこの日の映画は「Gormal returns(ゴルマール・リターンズ)」という、まじめな画面が1分もないばか映画であった。ゴルマールは主人公の名前なのだが、主題歌からして「Gormal, Gormal, everything is gonna be Gormal….」というまったく意味のない歌詞である。そうか、すべてはゴルマールになるのか・・・、とまったく訳がわからないまま劇場を出たが、気分は爽快であった。

No comments:

Post a Comment